出産を経験したママたちから、よくこんな声を聞きます。
「まだそこまで困ってないし、二人目を産んでから、まとめて体のケアをしたらいいですよね?」
実は、これはとてもよくあるお声なんです。
ですが、結論からお伝えします。
産後ケアは、後回しにせず**「今から」**始めた方が、圧倒的にラクです!
これには、ちゃんとした理由があります。
今回は、産後の体がどんな状態にあるのか、そしてなぜ今からケアするべきなのか、
専門的な視点からわかりやすく解説していきます。
産後の体、実はこんなにダメージを受けています

まず知ってほしいのは、
産後の体は、想像以上にダメージを受けているということ。
妊娠中から出産にかけて、女性の体には大きな変化が起こります。
特に影響を受けるのが、
- 骨盤周りの筋肉(骨盤底筋群や股関節周りの筋肉)
- 腹筋(インナーマッスル)
- 姿勢
です。
一つずつもう少し詳しく説明していきます。
出産、妊娠での骨盤底筋への影響?
出産の際に、お股の筋肉である骨盤底筋がどのくらい伸ばされるのか知っていますか?
想像できますか?

図:骨盤底筋の場所と、膣(赤ちゃんが出てくる場所)の位置
様々なネットの記事やSNSで
「子宮口が10㎝全開大したらいきむよ。」と
聞いたことがあるかもしれません。
実は、この子宮口が全開大して赤ちゃんの頭が出てくる時の骨盤底筋は、
通常の『3倍以上引き伸ばされる』と言われています。
3倍以上と言われてもピンとこないかもしれませんが、
一般的に筋肉は1.5倍以上引き伸ばされると、筋肉が損傷を起こすレベルと言われているので、
3倍というと筋損傷起こすレベルの倍。
ダメージがかなりありそうですよね。
また、会陰切開(お股を切って、赤ちゃんを出しやすくする処置)をしたり、
その後に縫ったり、
吸引分娩や鉗子分娩(器具を使って赤ちゃんが出てくるのをお手伝いする処置)をすると、
より骨盤底筋への負担が大きくなると言われています。
分娩の時だけダメージを受けるのではなく、
妊娠中にも大きくなるお腹を下から支えているため負担も大きくなっています。
このように、妊娠・出産は、骨盤底筋にとって負担の大きいイベントの一つなのです。
腹筋への影響?

妊娠によるお腹の変化
妊娠するとお腹が大きくなっていきます。
この時、赤ちゃんや子宮だけが大きくなっているわけではなく、
その周りの腹筋も引き伸ばされていきます。
筋肉が引き伸ばされるとどうなるのか?
筋肉は伸びたり縮んだりする事で力を発揮しますが、
強制的に伸ばされるので縮まりにくくなり、
力の発揮が難しくなってしまいます。
筋肉は力の発揮が難しくなる状態が続くと、
使い方を忘れてしまって産後も使いにくい状態が続きます。
そうすると、大きくなるお腹を自分の腹筋で支えることができなくなり、腰痛などの不調につながる可能性もあります。
また「骨盤がグラグラする感じ」、
「歩くのがなんか難しい」、
「お腹ぽっこりが戻らない」
といったお悩みが出てくる可能性も
高くなってしまいます。
妊娠前と妊娠中の姿勢の違い?

イラスト:妊娠すると起こりやすい姿勢の変化
妊娠中はお腹の重みで重心が前方に移動し、
反り腰になったり、猫背姿勢になりやすくなります。
姿勢が悪くなってしまうと、
お腹の筋肉がますます使いにくくなったり、
骨盤底筋への負担が増えてしまいます。
こういった変化があるため、
産後の体は交通事故にあった後の体のような状態だと言われることもあるんです。
でも、見た目には元気そうに見えるから、
休みたくても休めないから、
つい自分でもダメージを軽視してしまいがちなんです…。
産後ケアを後回しにすると、こんなデメリットが
後回しにすると、
ケアにかかる時間もコストも増えてしまう可能性が高くなります。
それはなぜか?
不調が重くなればなるほど、
- ケアに必要な施術回数が増える
- 不調の場所が増えてしまうため時間がかかる
- 骨盤底筋の強化には最低でも12週間以上かかる
だからこそ、症状が軽い今から始めた方が圧倒的にオススメなんです。
筋肉が弱くなっているものは、時間が経ったからといって強くならないんです。
体がガチガチになっているところも、ほぐしたり動かしたり、生活習慣を見直していかないと根本的には変わっていきません。
体の使い方も練習しなければ変わりません。
さらに、産後は自分のケアにかける時間が取れない!という現実もあります。
特にお二人目以降の産後は、
上の子のお世話もあるので、物理的に時間の確保が難しい・・・!という声もよく聞きます。
「本当はケアしたいのに、子どもの世話で手一杯」
「痛みがあるのに、我慢して毎日過ごすしかない」
そんな状況を想像するだけでつらいですし、あなたはそんな生活を望んでいますか?
自分の優先順位を上げることに罪悪感を感じるかもしれません。
母親だから、我慢しなければいけないと考えてしまうかもしれません。
ですが、体の不調があるとイライラしたり落ち込んだりして自分自身に余裕がなくなっていきます。
自分に余裕がない状態では、大切な我が子やパートナーにそのイライラをぶつけてしまったり、
子供にしてあげたいことが、体の不調のせいで難しかったりしますよね。
そんな自分に対して、
歯痒い思いをしたり、罪悪感を感じたり、自己嫌悪したりするとどうなるでしょうか?
育児が楽しくなくなってしまいませんか?
笑顔が少なくなり、怒ってばかりの子育てになりそうではないですか?
自分の体や不調のケアをすることは、
一見自分のことのためと思うかもしれません。
しかし実際はまわり回って、
子供やパートナー、家族のためでもあるのです。
お母さん自身が満たされて、笑顔で過ごせると
子供も満たされて笑顔で過ごせるのではないでしょうか?
そう思うと、自分を大切にすることに許可出ししやすくなりませんか?
だからこそ、後回しにせず不調が少ないうちに
早めにケアを始めて、自分自身を整えていくことをオススメします。
今からできるケアは、小さな積み重ねでOK
「でも、何からすればいいの?」と不安になりますよね。
大丈夫!
いきなりハードなトレーニングをする必要はありません。
今すぐできるケアを3つご紹介します。
まずはこれをしてみましょう!
✅ 深呼吸
ゆっくりと深呼吸をしてみましょう。
まずは3秒息を吸って5秒吐いてみましょう。
息を吸うときは、背中側〜横腹の骨盤の上あたりに空気を入れるように!
吐く時は、ゆっくりと、お腹にぎゅーっと力を入れないようにしましょう。
深呼吸をすることで妊娠・出産で弱ってしまったお腹の筋肉を使う練習をすることができます。
5秒を余裕で吐けるようになったら、
もう無理!限界!を通り越してもう少し吐いてみましょう。
そうするとおへそより下のお腹が薄ーくぺたんこになっていく感覚があると思います。
その時に使われる筋肉が骨盤を支えてくれる大切な筋肉になります。
✅ 正しい姿勢を意識する
座っている時・立っている時に、反り腰や猫背になってないですか?
左は理想的な姿勢
真ん中は猫背
右は反り腰
姿勢が悪くなると骨盤底筋にも負担がかかってしまいます。
気がついた時に姿勢を意識することも、骨盤底筋への負担を減らすことに繋がります!

自力で姿勢を正すのがしんどい、まだ難しいという方はクッションやサポートしてくれる椅子などの道具を使用するのもおすすめです。
✅ 抱っこや授乳の姿勢を見直す
体が丸まったまま授乳していませんか?授乳クッションを使用していますか?
特に産後のママさんの姿勢が崩れやすい授乳中
赤ちゃんを授乳クッションの上に乗せて
乳頭と赤ちゃんのお顔の位置を合わせる。
背中〜腰にクッションを入れて猫背にならないように注意してみてください。

抱っこもいつも同じ方向、同じ手でしていませんか?
日常生活の些細なことではありますが、意識的に続けることで確実に、体は変わっていきます。
未来の自分と家族のために
今、あなたが軽い不調に気づけたこと、
それは今ケアしておいた方がいいよ!という
「メッセージ」だと思っています。
今ケアをすることで、自分を大切にすることで
この先もっと明るい未来が待っている。
子どもと素敵な体験をすることができる。
そのためにはまずは体が元気で不調がないと一緒に楽しめませんよね
そんなメッセージではないでしょうか?
ママの体が元気なら、
赤ちゃんにも、上の子にも、家族にも、もっと優しくなれます。
「子供に怒らずに過ごしたい」、「不調なく生活を送りたい」、「妊娠前と同じように動けるようになりたい」
その先には一緒にいろんな体験をしたい。楽しみたい。感動を共有したい。
そんな思いがないですか?
自分のケアをする事は、
そういった自分の理想とする暮らしに、ぐっと近づくことができる事だと思っています。
だから今からできるケアを始めていきましょう。
一人で頑張るのが苦手、何をしていいのか、自分には何があっているのか分からない
自分なりにやってみたけど結果が出ない、そんな時はいつでも頼ってくださいね🎵
まとめ
産後ケアは、後回しにするとリスクが増えるだけでいいことは何もありません。
「あとでまとめて」ではなく、「今できる小さなこと」をコツコツ積み重ねていきましょう!
「自分のため」だけではなく大切な「家族のため」にも
まずはご自分の体を大切に、満たしていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました🌷